テレビの夜/いとしさを追いかける

BLの感想も書いてみようとするテストです。

いとしさを追いかける (幻冬舎ルチル文庫)

いとしさを追いかける (幻冬舎ルチル文庫)

進学のため上京した杜国が、最初に電話したのは高校のひとつ先輩である掛井だった。杜国は高校時代、ある目的で掛井に近づき、そして彼を手ひどく傷つけたまま離れ離れになっていたのだが……。
前振りというよりいきなり余談から入りますが、最近、1990〜2000年頭ごろまでの一部のBLを読むとこう、なんとも言えない郷愁に駆られます。独特なまでに色濃い繊細な雰囲気に気圧されるというか……。思春期っぽいような? ともかく恋愛よりもトラウマ克服がメインという感じで…作家で言うなら月村奎さんとか…レーベルで言うならDear+というか……そんな作品の雰囲気なのですが……。そんな、伝わるような伝わらないような話を「あー、そういうの、昔は多かったのにねー。なんか少なくなっちゃったよねー」と友達と懐かしみながら、最近遭遇するそれら雰囲気の作品を身内では「センシティブ・ラブ」作品群と呼んでます。使用法としては「あれ読んだ? すごいせんしちぶらぶだよね!」です。良い意味にもそうでない意味にも使用します。そんなこんなで、絶対数自体少なくなってますが、かなり意識しています「センシティブ・ラブ」。そして時々は読みたいんです、良作の「センシティブ・ラブ」(ネーミングセンスはあまりないような気がする…ね…)。そんな本題。
この本はまさしく良い「センシティブ・ラブ」でした。
収録作「テレビの夜」(初出2002年)を含むこの作品は、BLが惚れた腫れたとともに、自分の中の孤独感/コンプレックス/トラウマとどう向き合い、そしてどう「誰かひとりの人」と向き合っていくかということが重要な命題として在りえたということを思い出させてくれました。「大切な人と一緒にいることは怖い」ということが淡々と(切々と)綴られている筆致は静かに胸に迫ります。
いやー、こう、センシティブ良いよ……センシティブも大事だね……アラブと貴族読んで笑ってる場合じゃないね…(遠くを見ながら)

苦痛は、いつもひとりでこらえるものだった。
ひとりでしか抱えられないものだった。
母がいてもいなくても、ぼくは独りだったことに、そのとき、初めて気づいた。
ぼくと母の心は一度も溶け合ったことがなかった。だから、いなくなっても引き裂かれる痛みは感じられない。生まれる前のつながりだけにとらわれて、ぼくは母のそばに在った。

脱線

またさらに脱線しますが、作者・杉原理生さんのデビュー作「星の国から」は個人的にはこれまで読んだ(大好きな・しかしわりと博打度が高い)FT/SFなBLの中でも5本の指に入る良作だったと思っています。大好きです。こういう本もまた容易に読めるようになればいいのになー。ねー。

星の国から〈上〉 (ビーボーイノベルズ)

星の国から〈上〉 (ビーボーイノベルズ)

星の国から〈下〉 (ビーボーイノベルズ)

星の国から〈下〉 (ビーボーイノベルズ)