ブロークバック・マウンテン

reri2006-05-23

滑り込んで観てきました。地味というよりも冷ややかな映画だな…、と言う印象が強かったです。美しい風景とひとびとの関係の空しさのようなものの対比にどよーんと。ひたすらどよーんと。
ゲイ映画はゲイ映画なのでしょうけれども、(その点に関しては身をもって感じられることはあまりないので)個人的にはそれよりも、過去の美しかった一瞬に囚われた人たちの末路というか、無意識に選択することを拒み続けたひとの姿というか…そういう本当に漠然とした空しさを強く覚えました。ある一時を共有した故の盲目という意味では、同じくゲイ映画の「バッド・コミュニケーション」を思い出してみたり(id:reri:20050415:p2)
特にイニスの、選べるはずの未来も何もかも、無意識のうちに"何か"にがんじがらめになって"選択しない"というのは愚かだと思う反面、ものすごくよく「わかる」部分でもあるんですよね。自分からは何も選ばずに、理想と現実の乖離をただ嘆いて、ひたすら何かを待って生きていくことはあまりに容易い。そういう意味では映画を観ている間、「わかる」故に、ものすっっごいイニスが腹立たしかったです。もし、末路が同じ結果なら、選んだほうが幾分マシだと思うのに。けれど、選ばない、選べない。わかる。すごいよくわかる。けど腹立つ! さらにイニスが無自覚だから余計腹立つ! そんなこんなで、どこかステレオタイプな日本男児をも髣髴とさせる「俺、不器用ですから……」っていうイニスの感じに何度も後ろから蹴り飛ばしたい気持ちになっておりました…。ジャックに関しては、夢見がちなんですけれども、どこかその夢見がちな少女性のようなものに同時にフィクション性を感じてそんなに気にならなかったかな……。余談になりますが、このキャラクター性の対比はノンケとゲイの映画とも読めるのかなーとも思ったり……。
あとラストの曲がやばいですね。ずるいですね。状況を考えると滑稽な感傷で、残酷な自己防衛でしかないのに、本人の感情は、抽出された本人の感情だけは、心から悼み、過去を悔い、本当に、本当に、純粋で美しいものだということが伝わってくる。そのことには曇りがない故にひどく悲しい。
悔しくもありますが、素敵な映画でした。

あ、

あと、もう一本映画をハシゴしました。テニスの王子様(実写)(二回目) ……省略……っ。(渋谷の映画館のカフェにあった跡部様セットの写真だけ追加)