Self-Reference ENGINE

ちょっと読んで放置したあと「虐殺器官」を読んでからまた手に取った一作。「いつでも手を止められる物語だ」と思いながら、気がついたらつらつらと最後まで読み通してしまっていました。「わけわかんないのに読ませてしまう」という不思議な読みやすさは、毒ですね。というか、読みやすいからこそ成立する本、という気もしました。面白かったです。

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)


なんとなく把握した大まかなあらすじを書くと、舞台はコンピュータが極限まで進化し、人間の手を離れ「巨大知性体」となった世界。巨大知性体により「イベント」と呼ばれる災厄が起こり、時間が時間の流れとしての秩序を失い、時空も次元もずたずたに切り裂かれた無数の「宇宙群」を舞台に入り乱れる「人間」と「巨大知性体」の物語……なのですが、それらは蓄積されたアーカイブをランダムに"Reference"しているかのようにとりとめがない。
ええと、まあ、この感想よりさらにメタの視点から言及できる言語を、残念ながら今の私は持っていないな、と言う感じ(この感想がすでに本書の影響を受けてるな…)
そんな「ずたずたに切り裂かれた物語」の集積な一冊ではありますが、妙に心に残る物語があったり、引用したくなるフレーズがあったりするのもまさにレファレンス。ただ、個人的には楽しかったし満足したけれども、面白いよ!と、ゴリ推ししつつ誰かに押し付けるのはちょっと難しい感じはしました。
ちなみに個人的に好きだったお話は「Ground 256」と「Bomb」です。

どこまでも。
そして多分、いつまでも。
何度でも。