ハイスクールU.S.A.―アメリカ学園映画のすべて
- 作者: 長谷川町蔵,山崎まどか
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 144回
- この商品を含むブログ (54件) を見る
……というわけで読んでみました、本書。アメリカ学園映画クロニクルといった様相で、詳細な解説を眺めているだけでとても楽しい本でした。しかし、結構観てないもんだなーと。結局、各章2〜3本観ていれば良いほうだった…。
特に第三章「学園内階級恋愛」と第八章の「コロンバイン高校事件と学園映画」を興味深く読みました。わかっていたようでわかっていなかった、アメリカ学園映画の謎がいろいろと溶解しました。すっきり! チアリーダーと体育会系男子を頂点とする社会では、文化系ってだけでこんなにも虐げられる存在なのね!(そもそもこんなに厳然とヒエラルキーがあったのか!)、などなど。そして改めて「ジャンル・ムービー」としての様式美を感じたり。「コロンバイン高校事件」は事件自体がある意味学園映画が転換する契機にもなったんだな……、と改めて気づかされました。面白かったです。*2
「プレップ映画―その学園映画とは似て非なる世界」というコラムも面白かったです。ここで言う「プレップ映画」とは私立の制服高校を舞台にした『いまを生きる』などなどを含めた映画群のこと。
乱暴にまとめてしまえば、学園映画のキーワードが「私服/ヘテロセクシャル/春から夏」だとすれば、プレップ映画のキーワードは「制服/ホモソーシャル/秋から冬」なのだ。
おおお、なるほど。正直に言えば自分の中でどちらの映画はひとくくりで、『アナカン』だろうが『青春の輝き』だろうが『チアーズ!』だろうが全く区別せずに全部「若者映画」だったわけですが、本当だ、当たり前だけど全然違う! 私はもちろんこの「プレップ映画」も大好きなのですが、理由は明白です。このキーワード自体が残念ながら全部大好きですから! …しかし、そうなってくると逆に自分が学園映画を好きな土壌というのがどこにあったのかも気になってきたり……。少女漫画 + 爽快感? うーん? ……でも確かに、どの学園映画もなのかもしれませんが、「限られた数日間」を描くことも多い「学園映画」に、すぐに失われてしまうキラキラとした一瞬が閉じ込められて在るような憧憬は覚えているような気がします。
この本を片手に、いくつか映画も観てみたいと思います。
以下ものすごい余談。「アメリカ学園生活はプロムがなくっちゃ!」ということは私も先入観としては持っていたことですが、この本を会社のお昼休みに隣の席の帰国子女と眺めていたところ、彼女は想像以上にプロムを熱く語ってくれました。ついでに私も大興奮。「一年前から考え始めて、半年前にはもうソワソワするんです! それで、プロムの二ヶ月前くらいにプレダンスパーティーみたいなのがあるんですけど、そこが相手探しの最後の本当の勝負!」と、キラッキラしながら言われました。わー、たのしそー。ドレス選びとか、当日のリムジンの話とか、在校生なのにプロムに行けた子のステータスぶりとか……本当に面白い! 「モテ=社会性」になる世界は辛そうですが、そこに住んでいたら単純に物凄い乗っかっていたと思います。……いや、そう思いたいだけかもしれません……。ちなみに私の従姉妹も帰国子女なんですが、以前プロムのことを聞いたときは「あ……行く人居なかったから休んだ……」と言ってました。そんな彼女との共通話題はRPG…ファイナルファンタジーと幻想水滸伝です…。そして、この本を読んで「えーなんで行かなかったのー楽しそうなのに!」と責めたことを心の底から反省した。オタク大変。…私…日本のオタクでよかった…。