おもしろいよー

読書の秋ですね。

一瞬の風になれ 2

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

主人公新二が陸上をはじめて二年目の物語。
id:reri:20060830に続いて二巻を読みました。
ああ、これは非常に面白い。面白い。正統派青春小説ですね。そしてスポーツ描写自体では、先日の箱根駅伝小説よりも元体育会系の血は騒ぎましたよ。スリルや達成感を与えてくれるスポ根小説よりも、じりじりと"すべて"に"届かない"小説のほうが身につまされて個人的には面白いなあ。地味は地味ですが……。昔、自分も「限界は明確なラインがあるんじゃない、努力して伸ばしていくものだ」というスパルタ監督の指導の下、かなり真面目に運動しつつ結構な練習量をこなしていたことがあります。でも私は練習に意義を見出すことも上手くなることもできずに結局やめてしまったんですけど、耐えて、楽しめた先に、何があったのかはぼんやり頭ではわかっていたのです。この小説にはその「ぼんやりわかっていたこと」が描かれている気がします。楽しい。楽しい。つらいけど、楽しい。でもつらい、くやしい。
とても面白かったです。主人公はホントいい子だし、谷口さんも可愛くていい子だし、連もかわいいし!(みっちゃんと守屋先輩とのエピソードのところが特にいい) 主人公の兄の健ちゃんも痛いけどわかる気がする(健ちゃんとのエピソードはいかにも「青春小説エピソード!」って感じで、多少ひっかかりつつも個人的にはすきだ) これが正統派青春小説ということを思えば、続編の三巻はもっといろいろ達成感を与えてくれたり、すかっとする展開になるのだろうと思うんですが、きっと自分はこの「停滞」しているとも思えるこの二巻が一番好きなんじゃないかな…と、そんなことも思える二巻でした。
でも、もちろん来月の完結編も期待。
自分引用メモ

「自分の能力みたいなのに幅があるじゃん。最低から最高までさ。その一番上が見えないのがいい。夢とかさ、なんか、そういうことなんだけど、ワクワクできるのがいい。やれるかもしれないって自分で思えるのがいい」

藩校早春賦

積読が山脈のようです。実家から持ってきた10年ものとかあります。発酵してそうです。そんなこんなで、山に阻まれ読みたい本も見つからなかったので積読を減らそう計画。時々びっくりするような今更な本があるかもしれませんが…がんばります…。

藩校早春賦 (集英社文庫)

藩校早春賦 (集英社文庫)

江戸時代後期の東海のとある小藩に藩校が設立されることになった。その学校の剣術教授方を決するために、藩を代表する二つの道場の門弟たちが御前仕合にのぞむのだが…。……藩校を舞台に、階級社会の中で権力闘争や陰謀に巻き込まれながらも、成長していく少年たちを描く短編連作小説。
非常にほのぼのとした(?)お話で、NHKでドラマになりそうな、そんな雰囲気。妖怪も出てこないし不思議なことも起きませんが、雰囲気的には「しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)」を彷彿とさせるものがあるかも。けれど、ほのぼのと"物語、物語”したお話なのに妙に地に足がついているというか、読みながら期待した「主人公の新吾が劇的に養子に入って立身出世」とか、甘酸っぱい恋愛エピソードが描かれるとか、そういう話は無く…日々の事件を描いた"連作"のまま一冊終わってしまったので、その点がちょっと物足りなかったかも……。読みながら変に期待しすぎた自分も悪いのですが。
って、調べたら続編があるみたいだー! どうも作者の「夏雲あがれ(上) (集英社文庫)」はこの主人公たちの続編のよう……。って、あああ、……でも、この本も買った記憶があるんだ……。ど、どこにあるのー? この山のどこかにあるのか? それとも実家にあるのか? ひー、読みたいが、どこー(ものすごくダメ人間)