フランチェスコの暗号

プリンストン大学の学生が、ルネサンス時代の「ヒュプネロトマキア・ポリフィリ」という本をめぐる謎解きと陰謀に巻き込まれる暗号系ミステリ。
割と面白かった気がします。ちょっと、というかかなり、とっちらかっていましたけど。学問というか…研究対象への献身と青春の対比みたいなテーマは面白いな。どっちを選ぶんだ!みたいな。好きです。処女作っぽい思い入れたっぷりのセリフとか格言みたいなのもわりと素敵でした。しおり挟んどいた。ただ本当色々な要素を成立させようとするあまりにちょっとバラけた感じですね。歴史ミステリが読みたい人は物足りないかも。あとは特に後半というかラストがなー、研究を取るか、愛やら普通の生活やらを取るか、という途中までの葛藤がかなり未消化のまま終わっている気が…。しかも最後がとってもファンタジー……。わー。
歴史やら文学やら美術やらを対象にしたミステリは個人的にすごく好きですが、ダヴィンチ・コードといい、ダンテ・クラブといいグノーシスの薔薇といい、最近のアメリカの流行みたいですね。あんまりアメリカっぽくないようなテーマですが、実際「ダヴィンチコード」やこの小説を読むと、無性にアメリカー!って感じはします。テーマは地味だけど見せ方とかエピソードの選択が派手というかなんというか、うまく説明できませんけど……。それにしても、原作の評価は中々高いようですが、日本語訳の評価はあまり高くないみたいですね。元のほうが面白いのかな。あとタイトルは原題の「THE RULE OF FOUR」をもじったほうが素敵だったんじゃないかな、と思う。
あとこの本への評価の「フィツジェラルドとウンベルト・エーコとダン ・ブラウンの共著はこうなる!」というのは、ちょっと微妙か。けれどそういえば本屋で見かけた「グノーシスの薔薇」の帯も「U・エーコダン・ブラウンの共著〜」云々書いてあったな、と。流行っているのね。
フランチェスコの暗号〈上〉 (新潮文庫)
フランチェスコの暗号〈下〉 (新潮文庫)