シュミじゃないんだ

シュミじゃないんだ

シュミじゃないんだ

三浦しをんのBLに関するエッセイ(+紹介)集。
あはは、もうこれでいいんじゃないかと思いました。BLをお勧めする際はまずこの本を貸して試金石にする、という(紹介されているBL作品は基本「漫画」だけなんですが)。一本一本「友情」や「カミングアウト」やら「寮」やら「純愛」やら設定されたテーマ語りと一緒に、作品が丁寧に紹介されていてためになる(?)うえに、なおかつとても面白い!(夜中に何度か声を出して大爆笑…) このエッセイを通して「(BL)をなぜ好きなのか考えてみたかった」と言いつつも、最終的には「とにかく好きなんだ!」としか言えないような熱い空気が伝わってくる好著です。しかし、この本の中で、三浦しをんは「なぜBLが好きなの」と良く聞かれると何度か書いているように、「BLが好き」と公言しているということは、「BLって何? 何で好きなの? どこが面白いの?」という質問を答えなければいけない立場…にあるわけで、それってものすごく大変かつ果敢なことだな、と思いました。「なるべくちゃんとBLがどういうものなのか説明している」というのもすごい。本当にがんばっていただきたいです。
個人的に特に面白かったのは新田祐克の章と高井戸あけみのところかな…。新田祐克は本当…服とベッドの柄と部屋の内装眺めているだけでおかしいんだよ!と手に汗握りました。高井戸あけみのところは「きみたち、もう寮ごと俺のハートに引っ越してこい!」は名言だと思った。あと補足されている高井戸あけみの漫画の良いところは「運命の相手」という幻想から比較的自由である。ってところ…。なるほどなあ、と思いました。依田沙江美の漫画もいいよなあ……。千の花は読むたびぼんやり泣きます(もうすぐ三巻がでるみたいだよー)
ああ、でも、この本を読んで、多少疑問だった三浦さんの趣味はものすごく良くわかりました。なるほどなあ……(ニヤニヤ…的に)(この感覚…みんなもわかっていただけたら)(好きな作家は被ってたけど、好きな作品が微妙に合わないよ!)(私は春抱きよりホストのほうが好きだよ…!)(そこなの?)(ひとつの試金石らしいです)
一緒に三浦しをんのBL短編も収録(これについて書くのは野暮ってもんだろう)。